今月は、股関節と太ももの内側をつないでいる筋肉「内転筋(ないてんきん)」について書いていきます。
太ももの内側の筋肉が弱かったり硬かったりして使えていないと、骨盤や体幹のみならず、からだ全体の歪みや循環不良、老化が進んでしまいます。
疲れてるからゆっくり休みたい気持ちは分かりますが、慢性症状で困っている、将来ヨボヨボせずに動けるように予防しておきたいと思っているなら、おろそかにしないほうが良い筋肉です。
まだ大丈夫ではなく、もういまから始めたほうが、あのときやっておけば良かったと後悔しなくてすみますよ。
では、「内転筋」を使えるようにするとどう変わるのか?を紹介していきます。
内転筋は、骨盤の恥骨および坐骨から大腿骨の内側と膝関節の内側まで付いている筋肉で、恥骨筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・大内転筋という5つの筋肉で構成していて骨盤を安定させる役割があります。
主に脚を内側に寄せる働きがあり、恥骨筋(ちこつきん)・長内転筋(ちょうないてんきん)・短内転筋(たんないてんきん)・薄筋(はっきん)の4つは股関節を曲げると同時に内側に寄せるときに働きます。
大内転筋(だいないてんきん)だけは股関節を伸ばして(脚を後ろに引いた状態)内側に寄せるときに働き、5つの内転筋の中で一番大きな筋肉です。
内転筋は普段意識して使うことは少ないのですが、歩いたり、立ち座り動作、立位・座位姿勢保持といった日常動作の中で、脚や骨盤を安定させて動くためにとても重要な筋肉です。
使えているかどうかの簡単なセルフチェックは、
・片足立ちをしてみて、からだがグラグラとふらついてしまう。
・椅子に座り、両脚をそろえ、内ももに力を入れてしばらく脚を閉じた状態にします。このとき、脚を閉じ続けられない、内ももが疲れる場合は、内転筋がうまく使えていない状態です。
重要な筋肉にも関わらず、なぜ使えなくなってしまうのか?
それは、日常生活の習慣が大きく影響しています。
そのひとつが、座りすぎによる影響。日本人は、世界で一番座っている時間が長い人種です。
長時間座りっぱなしでいると、股関節はほとんど動かさないために固まりやすくなります。
さらに内転筋(特に大内転筋)が伸びたままの状態で、使う意識がおろそかな状態で日々くり返されることで気づかないうちに使えなくしてしまっているのです。
また、足を組むクセも要注意で、骨盤を歪ませて、片側の内転筋ばかりに負担をかける状態を自ら作り出して使えなくしてしまっています。
歩いているときにも内転筋が正しく使えていないことで歩行動作に現れてきます。
ガニ股歩行、内股歩行、腰が反っている、腰が丸くなっている姿勢で歩いていることです。つまり、腰、股関節、膝関節に負担をかけ続けている状態になってしまいます。
これは、姿勢を支えるために必要な筋肉同士の連携、バランスが崩れているために起こり、結果的に歪み、痛みの原因になってしまいます。
例えば、腰痛がなかなか改善しない場合は、内転筋の働きが低下していることも十分に考えられます。
内転筋が使えていないことで起こるデメリット
【 内転筋が弱い場合 】
・骨盤を支える力が弱まって安定しにくくなり、骨盤が前へ倒れたり(反り腰)、後ろへ倒れたり(腰が丸くなる)、下腹がぽっこりお腹の姿勢になってしまいます。
・脚の内側で支える力が不足していると、歩いたり、立ち座り動作、立位・座位姿勢保持といった日常動作で、股関節や膝関節などの正常な関節の動きや姿勢保持がむずかしくなり、歪みの原因になってしまいます。
・内転筋が使えていないと、太ももの外側の筋肉が働きすぎてしまい、結果として脚の外側が張りやすくなり、太く見える原因になってしまいます。
・女性の場合、骨盤の大きさの影響もうけて、膝が外側へ向きやすくなり、日常の歩き方や立ち方次第ではO脚傾向が強くなり、脚のラインが崩れやすくなったり、変形性膝関節症や尿漏れの原因にもつながります。
・男性の場合も、尿漏れや前立腺手術後の機能低下による排せつ系トラブルにつながります。
【 内転筋が硬い場合 】
・股関節の柔軟性が低下し、脚をスムーズに動かしにくくなります。
・股関節の可動範囲が狭くなり、脚が開きにくい、閉じにくくなります。
・骨盤が後ろに傾きやすく、姿勢が丸まりやすくなります。
・歩いているとガニ股になりやすいです。
内転筋は日常生活で使われにくいため、硬くて弱い筋肉になっている方も多いです。
内転筋を使えるようにするヒントとしては、なんとなく動かすのではなく、意識して使うようにすることです。
内転筋が弱い場合は、内転筋に意識を向けて、軽めに力を入れることから始めて筋力をつけていくことが必要になります。
内転筋が硬い場合、硬くて弱い場合は、ストレッチなどで柔軟性を高めてから、内転筋を動かすようにすると良いですよ。
椅子に座って、膝の内側にクッションなどを挟んで膝の内側同士でギューッと押し合うことで、股関節を曲げた状態で太ももの内側を働かせる内転筋(恥骨筋・長内転筋・短内転筋・薄筋)の運動。
あお向けに寝て、両膝を立てて、つま先を内側に向けて、足の裏または踵で床をしっかり踏み込んでからお尻をゆっくり持ち上げることで、股関節を伸ばした状態で太ももの内側を働かせる内転筋(大内転筋)の運動。
太ももの内側に刺激を入れることで、立位・座位姿勢、立ち座り動作、歩行動作での脚の安定感は少しずつ変わっていきます。
ストレッチだけ、マッサージや揉むだけで終わってるようでは症状を緩和させているだけで、本当の意味で改善にはならないということです。
そして、症状があるうちは毎日続けることが改善の近道です。
やったりやらなかったりが、なかなか改善しない取り組み方です。
内転筋が使えない状態は、腰、股関節、膝関節だけにとどまらず、全身の歪みや痛み、日常のなんでもない動作に影響を与えます。
さらに、尿漏れなどの排せつ系トラブルといったデリケートな部分にまで影響を与えてしまいます。
排せつ系トラブルは骨盤底筋の機能低下だけでなく、内転筋が使えていないことでも影響があることを頭の片隅にでも置いておいてください。
今月も最後まで読んでいただきありがとうございました。