座っていたり、しゃがんだり、股関節を曲げるとつけ根がグーッと圧迫されるつまりを感じたことはありませんか?
ひどい場合、痛みがでて股関節痛や腰痛になることもあります。
放っておかないほうが良いですよ。
股関節のつまりとは?
股関節をまっすぐ曲げた時や股関節をまっすぐ曲げてから太ももを内側に倒したりすると、股関節の前のつけ根につまるような圧迫感、ひっかかりのような感じの状態のことです。
しゃがむ動作で股関節を深く曲げる、座ったまま上半身を捻るなど股関節を内側へ閉じる捻る動作になったときに感じやすいです。
また、つまり感が強い場合は車の乗り降りや階段の上り下りなどでもつまりを感じることがあります。
このつまり感は、股関節周囲の筋肉が硬くなっていることによって起こっています。
しかし、股関節周囲の筋肉が単に硬くなっているだけではなく、股関節周囲の筋肉がバランス良く力を発揮することができなくなり、支えることが弱くなってしまったさぼり筋の影響をうけて、筋肉が過剰に頑張って硬くなってしまっているのです。
筋肉が硬くなってしまうと、股関節の動きが制限されてしまうのでスムーズに動かせなくなってしまい、つまりを感じてしまいます。
つまり感の原因として多いのは、腰椎から大腿骨の内側に着く大腰筋(だいようきん)と骨盤の内側から大腿骨の内側に着く腸骨筋(ちょうこつきん)、この2つの筋肉を合わせた腸腰筋(ちょうようきん)が代表的です。この腸腰筋が硬くなることで大腿神経が圧迫されて、つまるという感覚が起きてしまいます。
また、大腿神経の位置から大腿直筋の硬さもつまりを感じさせてしまう筋肉のひとつです。
股関節がつまる原因は?
・不良姿勢
長時間デスクワークをしているといつの間にか背中が丸くなって、骨盤が後ろに倒れ、自然におなかをへこませた姿勢になってしまいます。
また、椅子やソファに浅く座って背もたれにもたれる座り方も、おなかの奥深い所で支えている腸腰筋が縮んだ状態になって硬くなりやすく、腰の後ろと横を支える腹横筋は伸びたままの状態で力が発揮できていないために弱りやすくなってしまいます。
この姿勢でさらに足を組むと、バランスを取ろうとするために太ももの内側のつけ根には、あなたの知らないうちに過剰な力が入ってしまいます。
・運動不足
デスクワークで座っている時間が長い方や足を組んでしまう方、散歩など歩いたりして股関節を動かす頻度が少なく運動不足になっている方は、さぼり筋と過剰に頑張って硬くなる筋肉のせいで、つまりの原因になってしまいます。
・立ちっぱなしなど股関節に負担がかかる作業
仕事で立っている時間が長い、片足に重心をかけるような立ち姿勢になってしまう方、重い物を持つ作業が多いといったことは、股関節への負担が大きすぎることで筋肉疲労によって硬くなってしまいます。
仕事なのでどうしても避けられないことが多いと思いますが、そんな場合は短時間で良いのでセルフケアを継続することをオススメします!
・股関節の筋力不足
加齢や運動不足、ケア不足によって、股関節周囲を支えているいくつもの筋肉のうち、どれかが筋力低下してさぼってきてしまうと、他の筋肉が筋力低下を起こしている筋肉の分まで頑張ろうとするために硬くなりすぎてしまいます。
不良姿勢のところでも書きましたが、腸腰筋を硬くさせてしまう原因となるさぼり筋には、腸腰筋と拮抗して働く腹横筋があります。
他に弱りやすい筋肉としては、腹横筋と関係のある太ももの内側にある内転筋群、腸腰筋と関係のある太ももの後ろにある内側ハムストリングスにも関係があります。
これらの弱ってしまった筋肉がお尻や股関節のつけ根に負担をかけてしまい、股関節痛や腰痛に発展していくことも十分にありえます。
股関節のつまりは、ストレッチに運動をプラスするとさらに効果UP!
SNSでもたくさんのストレッチ方法が紹介されています。
股関節をストレッチすることも大事ですが、もっと効果を出すなら股関節を動かす運動を取り入れるとなお良いでしょう。
運動かぁ~ 面倒くさいなぁ~って思う気持ちは十分わかりますよ。
でも、ストレッチだけして一時的に症状緩和ができてもまた戻ってしまう。
その繰り返しで良いですか?
硬い筋肉を揉んだり、ストレッチで緩めても、関節を支え合っているさぼり筋は強くなってくれません。
ここでは、さぼり筋を改善させる運動方法をご紹介します。
腹横筋を動かす
何種類かある中で、誰でもできる簡単なのを2つご紹介します。
●寝てやる方法
①あお向けに寝て両膝を立てます。
②両手をお腹の上に置いて腹式の深呼吸をしますが、息を吐くときがポイントです。
③鼻で息を軽く吸いながらお腹を膨らませ、口からゆっくり息を吐きながらお腹をしっかりへこませます。
④お腹の奥の方を意識して、息をゆっくり吐いてお腹をへこませた状態で約5~10秒くらいへこませ続けてください。
⑤約5~10秒くらいへこませ続けたら、また息を吸うを繰り返します。
これは高齢者でもできる簡単な方法です。
また、座った状態でもやり方は同じです。
●立ったまま、座ったまま、あお向けに寝てやる方法
足は肩幅くらいに広げて、背中はまっすぐ、両腕は外側へ捻るように手の平が前に向くようにします。
息を吐きながら上半身を「くの字」になるように横に倒していきます。
息を吐きながら、横腹に一番力が入るのを確認しつつ、上半身は横へ倒したまま約10秒くらいキープします。
10秒キープできたら上半身を元に戻し、今度は反対側へ同じようにカラダを「くの字」に倒します。
左右10回ずつできれば良いですね。
内側ハムストリングスを動かす
●座った状態で足裏は床につけたまま足を左右交互に前後にスライドさせる
①椅子に座って、両方のつま先を内側へ向けます。
②つま先を内側に向けたまま、右足を前に出したら左足は後に引くというように交互に前後へスライドさせて太ももの後ろの内側を意識して動かします。
20回を3セット
●立った状態
①壁などに手をつきます。
②足を肩幅に開いて、右足裏のつま先は左のお尻に、左足裏のつま先は右のお尻のほうへ行くように、太ももの後ろの内側を意識しながら膝を交互に曲げ伸ばしします。
③膝を曲げるときに、膝が少しだけ外に向いても良いですが、完全に外側へ向かないようにしてください。
注意点:足首を少し内側に倒したような状態になるので、ふくらはぎがつってしまう場合は、足首に力が入りすぎ、ふくらはぎに力を入れて膝を曲げようとしてしまっています。
足首には力を入れすぎず、太ももの後ろの内側を意識して曲げ伸ばししてください。
それでもつってしまう場合は、内側ハムストリングスが筋力低下を起こし、働きが悪くなっている状態になっています。
内転筋群を動かす
①椅子に座って、両方のつま先を内側へ向ける
②両膝の間は、こぶし1個分空けて、太ももの内側を意識してそのまま足踏みをします。
注意点:ふくらはぎがつってしまう場合は、足首を内側に向けることに意識が向きすぎて足首に力が入りすぎ、ふくらはぎに力を入れすぎています。
これは、内転筋群の働きが悪くなっている状態になっています。
最後に、腹横筋だけを運動すれば股関節のつまりが解消されるとは限りません。
場合によっては、内転筋群や内側ハムストリングスも運動しないといけない場合もありますし、腸腰筋自体の柔軟性も悪くなっているので腸腰筋を動かす必要もでてきます。
さぼり筋改善トレーニングで、さぼり筋が働くようになってくると、硬くなってしまっている筋肉はその影響を受けて頑張りすぎず緩んできてくれます。
股関節は、いくつもの筋肉で支えているので、ひとつでも筋肉が支えることをサボってしまうといろいろな症状が出てきてしまいます。
最初はほんの小さなつまりや違和感でも、痛みに変われば解消するのに時間がかかってしまうので、早めに対処しましょう。
緩める、ストレッチをすることも大事ですが、さぼり筋を働かせて症状の戻りがないようにしていきたいですね!
今月も最後まで読んでいただきありがとうございました。